2014年07月03日

高血圧の治療薬の種類(6)

●高血圧の治療薬の種類(6)

●β受容体遮断薬

α受容体遮断薬と同じようにβ受容体遮断薬にも非選択的なものと選択的β1受容体遮断薬が存在する。

例えばプロプラノロールは非選択的なβ受容体遮断薬であるが、血管平滑筋の弛緩効果をもたらすβ2受容体を阻害することはむしろ血圧を上昇させる。

しかし、β1受容体阻害による心拍数・心拍出量の減少および腎臓傍糸球体細胞からのレニン放出抑制(血圧低下)とβ2受容体阻害による血圧上昇を比較した場合にβ1受容体の作用が優位であり、結果として血圧は低下する。

また、β2受容体は気管支拡張にも関与しており、β2受容体遮断により気道狭窄が引き起こされるため気管支喘息の患者に対しての使用は禁忌とされる。

それに対してβ1受容体選択的遮断薬はβ2受容体遮断作用を持たないことから比較的安全に使用することができる。



βブロッカーは他の降圧薬に比べて心血管系イベントの抑制効果は低く、高齢者、耐糖能障害者には第一選択とはならない。

しかし心臓のリモデリング作用があるために狭心症、心筋梗塞、頻脈性不整脈、大動脈解離、心不全を合併を合併する高血圧では良い適応となる。

併用療法ではサイアザイド系利尿薬との併用は代謝面で不利益があると考えられている。



添付文章上はβブロッカーは喘息、高度徐脈では使用禁忌、耐糖能障害、閉塞性肺疾患、末梢動脈疾患にて慎重投与となっている。

βブロッカーの使い分けのパラメータとしてはβ1選択性、内因性交感神経刺激作用(ISA)、α遮断作用、脂溶性、水溶性といったものがあげられる。

おもな使い分けとしては若年中年の狭心症を合併した高血圧の場合はβ1選択性のあるテノーミン(アテノロール)、メインテート(ビソプロロール)、アーチスト(カルベジロール)などが好まれる。高齢者で心拍数の低下が気になる場合はセレクトール(セリプロロール)などISAがあるものが好まれる。



脂質代謝など代謝面への副作用が気になる場合はαβ遮断薬であるアーチスト(カルベジロール)が好まれ、慢性腎臓病に対する治療にはセロケン(メトプロロール)、アーチスト(カルベジロール)が好まれる。




●α1β遮断薬

α受容体遮断薬においては血圧降下に伴いフィードバックとして生じる反射性頻脈が副作用として生じるという問題点があった。

しかし、α1β遮断薬は頻脈の原因となるβ1受容体も同時に阻害するため、副作用を未然に防止可能である。

カルベジロール(Carvedilol アーチストなど)


ラベタロール(Labetalol)

アロチノロール(Arotinolol)

ベバントロール(Bevantolol)


●α2受容体刺激薬

α2受容体はシナプス前膜に存在し、血圧の上昇に関与しているアドレナリンの放出を抑制的に制御している。

妊娠高血圧症候群に対して第一選択薬として用いられることもある。



以上

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2014年06月30日

高血圧の治療薬の種類(5)

●高血圧の治療薬の種類(5)


●直接的レニン阻害薬

レニンはアンジオテンシノーゲンからアンジオテンシンIへの変換反応を触媒する酵素であり、血圧のコントロールに関与するレニン-アンジオテンシン系の上流に位置する。

直接的レニン阻害薬 (Direct Renin Inhibitor,DRI) であるアリスキレンはレニンのAsp32とAsp215の両残基に水素結合し、その活性を抑制することで降圧効果を示す十数年ぶりの新しいクラスの降圧薬である。

アリスキレンの降圧効果は持続的であり、単剤投与での24時間以上にわたって十分な降圧効果を示すとされており、ACE阻害作用を有していないためにキニン代謝による空咳などの副作用は生じにくいと考えられている。

アリスキレン(Aliskiren ラジレスなど)



●交感神経遮断薬

●交感神経の神経筋接合部にはアドレナリン受容体が存在している。

アドレナリン受容体は大きくα受容体とβ受容体に分けられ、α受容体は血管平滑筋の収縮を介して血圧上昇に働くα1受容体とシナプス前膜に存在して抑制的なフィードバック機構として働くα2受容体が存在する。

一方、β受容体にはβ1-3の三種類のサブタイプが存在し、β1受容体を介した心機能亢進作用やβ2受容体を介した血管平滑筋弛緩作用が血圧の制御において重要である。


●α受容体遮断薬

α受容体の遮断薬には非選択的にα受容体を遮断するものと選択的にα1受容体のみを遮断するものが存在する。

非選択的遮断薬であるトラゾリンおよびフェントラミンはα2受容体に対しても阻害作用を示すことから、α2受容体を介した抑制的フィードバックが外れ、シナプス前膜から神経伝達物質であるノルアドレナリンの放出が促進される。

このノルアドレナリンが循環血中を回り心臓などへ辿りつくとβ受容体の刺激を引き起こし、副作用の原因となる。

一方、α1受容体の選択的な遮断薬はα2受容体遮断作用を持たないことからこのような副次的な効果をもたらしにくい(副作用がないというわけではない)。

αブロッカーには心血管系の抑制効果が報告されていないため、高血圧治療薬の第一選択にはならない。

しかし脂質代謝やインスリン抵抗性を改善するため脂質異常症、メタボリックシンドロームを伴う高血圧では併用薬として用いられることが多い。

早朝の血圧上昇が心血管系イベントに関連し、その上昇に交感神経の亢進が関与するとされており早朝高血圧に対してドキサゾシン(カルデナリンなど)が使用されることが多い。

また前立腺肥大が合併している時も好まれる傾向がある。

カルデナリンの場合、アドビアランス不良の原因となるのが起立性低血圧の副作用である場合が多く、高齢者での使用では注意が必要である。

カルデナリンの維持量は1日1〜4mg(分1)であるが0.5mgから開始し、徐々に増量していく。

起立性低血圧は出現しても数日後に自然消失することも多いが、転倒のリスクがある患者では注意が必要である。 トラゾリン(Tolazoline)

フェントラミン(Phentolamine)

ドキサゾシン(Doxazosin カルデナリンなど)

プラゾシン(Prazosin ミニプレスなど)

ブナゾシン(Bunazosin デタントールなど)

テラゾシン(Terazosin)

ウラピジル(Urapidil)


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2014年06月25日

高血圧の治療薬の種類(5)

●高血圧の治療薬の種類(5)

●アンジオテンシン受容体拮抗薬 (ARB)

上記の機構により産生されたアンジオテンシンIIはアンジオテンシン受容体を介してその作用を発現することが知られている。

アンジオテンシン受容体にはサブタイプが存在し、アンジオテンシン受容体拮抗薬(英: Angiotensin Receptor Blocker, ARB)の降圧作用はAT1受容体の遮断に基づく。

いずれも妊婦への適応は禁忌である。



ARBの標準薬はバルサルタン(Valsartan ディオバンなど) であり、世界で最も汎用され新薬開発時には、比較薬とされている。

ACE阻害薬やARBは輸出細動脈を拡張させ糸球体内圧を低下させ蛋白尿の減少を行う作用がある。

また、ARB各薬剤のクラスエフェクト以外の作用も注目されており、テルミサルタン(ミカルディスなど)のPPARγ活性化作用を介した糖・脂質代謝改善作用、ロサルタン(ニューロタンなど)の尿酸値低下作用等が挙げられる。

ARBは空咳のないACEIとほぼ同様なイメージがあったが、イルベサルタン(イルベタン、アバプロなど)は腎症に対して豊富なエビデンスがあり、心不全にACEI、腎不全にARBというイメージを定着させた。


ロサルタン(Losartan ニューロタンなど)

オルメサルタン(Olmesartan オルメテックなど)

テルミサルタン(Telmisartan ミカルディスなど)

バルサルタン(Valsartan ディオバンなど)

カンデサルタンシレキセチル(Candesartan Cilexetil ブロプレスなど)

イルベサルタン(Irbesartan イルベタン、アバプロなど)

アジルサルタン(Azilsartan アジルバなど)

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2014年06月19日

高血圧の治療薬の種類(4)

●高血圧の治療薬の種類(4)


●アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)

アンジオテンシン変換酵素(ACE)は生理活性ペプチドであり昇圧作用を有するアンジオテンシンIIの産生に関与している。

さらに、ACEは降圧物質であるブラジキニンの分解に関与する酵素キニナーゼIIと同等であり、ACE阻害薬はこの酵素活性を阻害することにより、アンジオテンシンIIの産生抑制とブラジキニンの分解抑制をもたらし、結果として降圧作用を示す。


ACE阻害薬やARBは輸出細動脈を拡張させ糸球体内圧を低下させ蛋白尿の減少を行う作用がある(腎保護作用)。

このため慢性腎臓病、糖尿病性腎症でARBと同様に好まれる傾向がある。

またACE阻害薬は心臓のリモデリング防止作用、心筋梗塞の再発予防、心不全患者の予後改善効果があると考えられている。

またCa拮抗薬と同様の脳卒中予防効果もあるとされている。

空咳の副作用が有名であり、ARBに劣るイメージがあるが心保護作用のエビデンスはACEIの方が豊富である。

心房細動の抑制効果も知られている。特にイミダプリル(タナトリル)は糖尿病性腎症に適応がある。



●カプトプリル(Captopril カプトリルなど)

●リシノプリル(Lisinopril ロンゲスなど)

●エナラプリル(Enalapril レニベースなど)

●デラプリル(Delapril)

●ペリンドプリル(Perindopril コバシルなど)

●ベナゼプリル(Benazepril)

●トランドラプリル(Trandolapril)

●キナプリル(Quinapril)

●アラセプリル(Alacepril)

●イミダプリル(Imidapril タナトリルなど)

●テモカプリル(Temocapril)

●シラザプリル(Cilazapril)


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2014年06月17日

高血圧の治療薬の種類(3)


●高血圧の治療薬の種類(3)

●カルシウム拮抗薬(2)

●ジヒドロピリジン系

ニフェジピン(アダラートなど)やニカルジピン(ペルジピンなど)やアムロジピン(アムロジンやノルバスク)が含まれる分類である。

ニフェジピンはL型カルシウムチャネルのN部位に結合する。

血管拡張作用、降圧作用が強く、心筋への作用がほとんどない。

高血圧や冠動脈痙縮症、狭心症でよく用いられる。

陰性変力作用や催不整脈作用は殆どないと考えられている。

ニフェジピンは作用発現が早すぎて、心拍数の上昇が認められることがあったが、アダラートLなどは徐放剤とすることでその問題点を克服している。



アダラートカプセルは徐放剤ではないため高血圧緊急症における迅速な降圧の際に以前は用いられたが、過剰な降圧を来したり、かえって虚血性心疾患を誘発したりする可能性があり、現在は勧められない。


ニカルジピンは安定した点滴静注が可能であるため、病棟では好まれる。


ペルジピンの1アンプルは10mg/10mlである。維持量が2〜10γであるため、体重が50Kgならば1γは原液で3ml/hrに相当する。

原液2ml/hrから開始しスケーリング対応で2〜20ml/hrの範囲で維持することが多い。

副作用に頻脈性不整脈があるため心不全を合併している場合は0.5γである1.5ml/hrという低用量からスタートするのが無難である。


●アムロジピン(Amlodipine アムロジン、ノルバスクなど)

●フェロジピン(Felodipine)

●ニカルジピン(Nicardipine ペルジピンなど)

●ニフェジピン(Nifedipine アダラートなど)

●ニモジピン(Nimodipine)

●ニトレンジピン(Nitrendipine)

●ニルバジピン(Nilvadipine)

●アラニジピン(Aranidipine)

●アゼルニジピン(Azelnidipine カルブロックなど)

●マニジピン(Manidipine カルスロットなど)

●バルニジピン(Barnidipine)

●エホニジピン(Efonidipine ランデルなど)

●シルニジピン(Cilnidipine アテレックなど)

●ベニジピン(Benidipine コニールなど)


posted by ホーライ at 19:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 高血圧の治療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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