2014年06月13日

「高血圧治療ガイドライン2014(JSH2014)」電子版・スライドセット公開の件

■■■■■■ 高血圧関係のニュース(2014/06/13) ■■■■■■

● 「高血圧治療ガイドライン2014(JSH2014)」電子版・スライドセット公開の件
http://www.jpnsh.jp/topics/347.html

●高血圧の薬は一生飲み続けなくていいって本当?
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140609-00000001-sasahi-hlth&pos=5

●6、7番目の「ARB+Ca拮抗薬」配合剤
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/series/drug/update/201406/536814.html&di=1

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高血圧の治療薬の種類(1)

●高血圧の治療薬の種類(1)

●利尿薬

利尿薬(利尿降圧薬)は尿量を増加させるための医薬品である。

そもそも尿とは血液中の不純物を除去するための機構であり、生体内で産生される老廃物は腎臓の糸球体で濾過されたのち尿中に排出される。

一方、尿は体外への水分排泄の役割も担っている。尿量が少なく循環血液量が多い状態では血圧が高くなるため、利尿薬による水分排泄は降圧効果を示す。

糸球体濾過を受けた血液由来の水分は尿細管へと移行する。

尿細管は糸球体に近い方から近位尿細管、ヘンレ係蹄(下行脚および上行脚)、遠位尿細管、集合管と呼ばれ、膀胱へと流れ込む。

糸球体濾過を受けた水分(原尿)の9割はこれらの尿細管壁から回収されることが知られている。

これを再吸収と呼び、再吸収を免れた水分のみが膀胱へと流れつき、尿として排泄される。

尿の再吸収はまず尿細管壁に存在するイオン交換体によってナトリウムイオン(Na+)の再吸収によって尿細管内外に浸透圧差が作られることにより始まる。

この浸透圧差を補正するためにNa+に付随して水も尿細管外へ移動することになり、結果として水分の再吸収が行われる。

現在発売されている利尿薬はこれらのイオン交換体の機能を調節することにより水分の再吸収を抑制し、尿量を増加させるものである。


●サイアザイド系利尿薬(チアジド系利尿薬)

サイアザイド系利尿薬は遠位尿細管においてNa+およびCl-の再吸収を阻害する。

上記に示した通りチアジド系利尿薬はアメリカのガイドライン(JNC7)においてその使用が推奨されており、中程度の利尿作用を有する。

併用薬としての低用量のサイアザイド系利尿薬の使用は有効であるということがALLHAT試験で明らかになっている。(ただしALLHATで用いられたエビデンスのあるサイアザイド系利尿薬はクロルタリドン)この場合は利尿薬としての使用量よりも少ないことに注意が必要である。

サイアザイド系利尿薬は添付文章上は腎機能障害(Cr≧2.0)、低カリウム血症、痛風が認められる場合は使用禁忌であり、妊娠、耐糖能機能障害の場合は慎重投与ということになっている。

しかしこれは利尿薬として使用する場合であり、降圧薬としてサイアザイド系を用いる場合は利尿作用を期待する場合の1/4〜1/2量の併用となるため低カリウム血症、高尿酸血症、耐糖能障害といった不利益は最小限に抑えることができるとされている。

それでも障害が重度の場合はカリウム保持性利尿薬やロサルタン、シルニジピン、アロプリノールを併用する場合もある。

ただ、作用機序の問題からCr≧2.0で降圧効果、利尿効果ともに無効になってしまうことは変わりない。

低用量サイアザイド系利尿薬は短期的には循環血症量を減少させるが長期的には末梢血管抵抗を低下させることで降圧を行うと考えられている。

ADVANCE studyではACEとサイアザイド系利尿薬の併用薬と偽薬を比較しアドビアランスは同等であったため、利尿作用による不便さは長期的には問題とならないことが示唆されている。

代謝面の不利益から単純に高血圧治療を行うときにはβブロッカーとの併用は推奨されていない。

また腎障害時(Cr≧2.0)で利尿薬を使用する場合はループ利尿薬となるが、利尿作用が強い割に降圧作用は弱い傾向がある。

但し、うっ血性心不全が認められるときはうっ血の解除には有効であるためループ利尿薬を積極的に使用する。



プレミネントなどARBとサイアザイド系の利尿薬との合剤も販売されている トリクロルメチアジド(Trichlormethiazide フルイトランなど、一日1〜2mg)

ヒドロクロロチアジド(Hydrochlorothiazide ダイクロライドなど、一日12.5〜25mg)



●ループ利尿薬

ループ利尿薬は強力な利尿作用を有しているが、降圧作用はそれほど強くない。

ヘンレ係蹄上行脚においてNa+の再吸収に関与しているNa+/K+/2Cl-共輸送系を阻害する。

これにより尿細管内外の浸透圧差が緩和され、下行脚における水の再吸収が抑制される。

フロセミド(Furosemide,ラシックス)

トラセミド (Torasemide,ルプラック)

ブメタニド(Bumetanide)

エタクリン酸(Ethacrynic Acid)



●カリウム保持性利尿薬

多くの利尿薬はナトリウムの再吸収阻害と共にカリウムの排泄増加を引き起こし、低カリウム血症を副作用としてもつ。

カリウム保持性利尿薬は他の利尿薬とは逆にカリウムの補充を行うことができるため、併用することにより血中カリウム値の維持が可能となる。

カリウム保持性利尿薬であるスピロノラクトンはステロイドホルモンの一種であるアルドステロンと受容体との結合において拮抗し、Na+/K+交換系の活性化を抑制する。

一方、トリアムテレンは集合管においてNa+チャネルを活性化し、細胞内Na+量を増加させる。これによりNa+/K+交換系は抑制される。

カリウム保持性利尿薬はこれらの機序を介して利尿作用と血中K+増加作用を示す。


スピロノラクトン(Spironolactone,アルダクトンA)

トリアムテレン(Triamterene)

エプレレノン(Eplerenone,セララ)


(続く)

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2014年06月11日

降圧剤について

●降圧剤について

高血圧治療薬(こうけつあつちりょうやく、英: Anti-hypertensive)は、医薬品の分類の一つであり、何らかの原因で血圧が正常範囲から持続的に逸脱している場合(いわゆる高血圧)、具体的には収縮期血圧(最高)が140mmHg以上あるいは拡張期血圧(最低)が90mmHg以上の場合に、その血圧を低下させる目的で用いられる治療薬であるが、この基準値は患者の年齢や糖尿病などの基礎疾患の有無により異なる。

また、家庭血圧と診療室血圧の値がそれぞれ異なる値を示すことが東北大学の今井らによって行われた大迫研究により明らかにされており、ガイドラインにおいても考慮されている。



日本の高血圧人口は4000万人に及ぶとも言われ、もはや国民的な疾患であると言える。

高血圧は生活習慣病の一つに位置づけられ、自覚症状はほとんど認められないものの、血管内皮の障害を起因として動脈硬化症を発症する原因となり、さらにそこから虚血性心疾患や脳卒中など種々の合併症が引き起こされることから問題となる。



高血圧の最終的な治療目的は脳卒中や心不全などの二次的疾患を予防し、生命予後を改善することにある。

高血圧の発症には食生活や喫煙などの生活習慣が大きく関与することから、基本的にはこれらを改善することによる治療(非薬物療法)が試みられるが、目標値が達成不可能である場合には薬物治療が行われることになる。

血圧のコントロールは自律神経系やレニン-アンジオテンシン系(RA系)をはじめとした液性因子などによって行われており、現在発売されている降圧薬は主にこれらの機構をターゲットとしている。



●治療薬選択の大まかな考え方

アドヒアランス向上のため原則としては1日1回投与のものを選ぶ。

降圧薬の投与量は低用量から開始する。

低用量から高用量への増加よりもシナジーを期待して併用療法を行った方が効果が高いと考えられている。

II度以上(160/100mmHg以上)の高血圧では最初から併用療法を考慮する。

併用法としてはRA系抑制薬とCa拮抗薬、RA系抑制薬と利尿薬、Ca拮抗薬と利尿薬、βブロッカーとCa拮抗薬などがあげられる。

最初に投与した降圧薬で降圧効果が得られなければ作用機序の異なる降圧薬に変更する。

高血圧の薬物治療は通常、単剤あるいは低用量の2剤から開始され、降圧作用が不十分な場合には用量の増大か多剤への変更、異なる作用機序を持つ降圧薬との併用療法などが行われる。



また、一概に高血圧治療薬といっても多くの種類が存在し、これらの作用機序・薬効・薬価は様々である。

高血圧の初期薬物治療においてどのような薬物を用いるかは大規模な臨床試験の結果やガイドラインに沿って行われる。

高血圧の診療ガイドラインはWHO/ISH(国際高血圧学会)によるものと米国のJNC7が国際的に主流であり、JNC7ではチアジド系利尿薬が他のグループと比較して安価で大きな治療効果が得られることから、その使用が推奨されているが、治療薬は個々の患者の病歴や合併症の有無などを考慮した上で選択されるべきである。



日本においても日本高血圧学会による高血圧治療ガイドラインが2004年に作成されており(JSH2004)、2009年1月には最新版(JSH2009)が発行された。
    ↓
https://www.jpnsh.jp/guideline.html




国際ガイドラインは欧米での臨床試験をもとに作成されているため、日本人の高血圧治療に当てはめるには不向きな点もあるが、新ガイドラインであるJSH2009ではCASE-J試験やJIKEI-Heart試験、JATOS試験等の国内の臨床試験のデータがエビデンスとして盛り込まれた(が、後に削除された。)

なお、JSH2004からJSH2009への変更点は以下のような点である。

(1)α遮断薬の主要降圧薬からの除外。

(2)血圧値に加えて心血管障害、メタボリックシンドローム、慢性腎臓病(CKD)などの危険因子を考慮して3群にリスク層別化を行い、治療方針を決定。

(3)降圧目標の設定。



また、高血圧の患者では薬物を長期に渡って服用することになり、降圧薬の併用に加えて合併症に対する治療薬も数多く処方され結果として10種類を超えるような薬剤を服用している場合も少なくない。

ADVANCE試験により合剤の有用性が示され、日本においてもARBと利尿薬の合剤が認可されている。

このような複雑な処方を受けている患者に対して合剤を用い、少しでも薬の種類を少なくすることがアドヒアランスの改善に結びつくと考えられている。

(続く)
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2014年06月09日

高血圧の薬物療法(降圧薬)

●高血圧の薬物療法(降圧薬)

1.なにもリスクがない患者では、コストが安い利尿薬やカルシウム拮抗薬を第一選択とする。

60歳未満ではACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、β遮断薬なども用いられる。


2.降圧利尿薬は古典的な降圧薬であるが、低カリウム血症、耐糖能悪化、尿酸値上昇などの副作用にもかかわらず、最近の大規模臨床試験の結果では、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、Ca拮抗薬などの新しい世代の降圧薬に劣らない脳卒中、心筋梗塞予防効果が証明されており、米国では第一選択薬として強く推奨されている。

降圧利尿薬は痛風の患者には使用するべきではない。また緑内障の発症を著しく促すことも最近明らかになっている。


3.糖尿病や腎障害の患者では、ACE阻害薬またはAII拮抗薬を第一選択とするが、これらの合併症がある場合には、130/80mmHg未満の一層厳格な降圧が必要とされるために長時間作用型Ca拮抗薬の併用も不可欠である。

腎障害が高度な場合にはACE阻害薬やアンジオテンシンII受容体拮抗薬は用いることができない。


4.心不全の患者では、ループ利尿薬に加えて、ACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬の併用が有効である。

最近βブロッカーの少量追加、K+保持性利尿薬も有効であるとのエビデンスも蓄積されている。



5.虚血性心疾患の患者では、従来はβブロッカーが第一選択であったが、最近はACE阻害薬またはAII拮抗薬や長時間作用型Ca受容体拮抗薬の有用性も証明されている。

特に、冠動脈のれん縮による狭心症合併例では長時間作用型Ca拮抗薬が有効である。


6.高齢者高血圧に関して、以前は根拠がないままに積極的な降圧は必要がないとされていたために、2000年版の日本の高血圧治療ガイドラインでも高齢者では高めの降圧目標値が設定されてきた。

しかし最近の大規模臨床試験では、年齢に関わりなく積極的な降圧が必要であることを明らかにしており(HYVET studyなど)、欧米の高血圧治療ガイドラインでは年齢による降圧目標値の設定は行っていない。

また日本の高血圧治療ガイドラインも、2004年版では高齢者高血圧も140/90mmHg未満までの降圧が必要であるというように変更された。


7.慢性腎臓病を合併した高血圧の治療については、2008年に日本腎臓学会・日本高血圧学会から共同でガイドラインが発表された。

第1選択はレニン−アンジオテンシン系抑制薬とされ、第2選択は利尿薬またはCa拮抗薬、第3選択はCa拮抗薬または利尿薬とされている。


8.妊婦に対しては、多くの降圧薬に催奇形性があるか、ある恐れがあり、ヒドララジン、αメチルドーパのみを使用する。

9.αブロッカーは、基本的に推奨されないが、前立腺肥大症を合併している患者などでは有用かもしれない。

しかし、 αブロッカーは最近の大規模臨床試験では最も古典的な降圧薬である降圧利尿薬よりも脳卒中や心不全予防効果が劣ることが明らかになり、最近の欧米の治療ガイドラインでは第一選択薬から外されている。




●高血圧の食事療法


●食塩制限(ナトリウム制限)

減塩1g/日ごとに収縮期血圧が約1mmHg減少するとの報告があり、原因によらず、ほぼ全ての高血圧で塩分(塩化ナトリウム)摂取制限は必須である。

2006年の米国心臓協会(AHA)の勧告による食塩換算値の理想的な摂取量は3.8g/日とされているが、日本では目標値として6g/日が用いられている。

食品の含有量が食塩(塩化ナトリウム:NaCl)でなくナトリウム (Na) の表示の場合は、2.5倍して塩化ナトリウムに換算する。

健康ブームに乗って「この天然塩はミネラル豊富なため多く摂っても高血圧にならない」などの宣伝が散見されるが、このような文言をうのみにすることは危険である。

上記メカニズムにより、問題は塩の質ではなくナトリウムの量である。

また、炭酸水素ナトリウム(重曹)もナトリウム源となる。

調味料として塩分をほとんど摂取しないヤノマミ族には高血圧を発症するものはおらず、健康に生活していることから、日常生活で醤油・味噌を用いる日本では調味料としての食塩の摂取下限はないと考えられている。

なお、高血圧患者において減塩療法が有効なのは食塩感受性高血圧で、全患者の30%から40%とする報告がある。



●カリウム摂取

血圧上昇を抑制する作用があり、早朝スポット尿検査からもカリウム摂取は重要と考えられている。

カリウム摂取量が多い成人ほど収縮期および拡張期血圧が有意に低く、脳卒中リスクも低いことが報告されている。

2012年WHO は、カリウム摂取のガイドラインを初めて発表し、推奨摂取量を90mmol/日(3519mg)以上とした。(カリウム 1mmol = 39.1mg)



●飲酒の制限(節酒)

酒の摂取では一時的な血管拡張により降圧するが、飲酒習慣は血圧を上昇させることはよく知られている。

毎日の飲酒習慣は 10歳の加齢に相当する血圧値を示す。

降圧効果は1 - 2週間以内に現れる。

大量飲酒者は急に飲酒の制限を行うと血圧上昇をすことがあるが、飲酒制限の継続により数日後から血圧は下がる。

エタノール換算量は、男性が20 - 30ml/日(日本酒換算1合前後)、女性が10 - 20ml/日、これ以下にするべきである。



●禁煙

喫煙など動脈硬化を促進する生活習慣も断つ必要がある。

喫煙はβ遮断薬の降圧効果を減じる作用がある。



●生活習慣

疫学研究から寒冷が血圧を上げることが示され、季節では冬季に血圧が高い。

高血圧患者では冬季の寒冷刺激を緩和するために、トイレや浴室などの暖房も望まれる。

入浴は熱すぎる風呂、冷水浴、サウナは避けるべきである。

便秘に伴う排便時のいきみは、血圧を上昇させるので避ける。

夕食後から就寝までの時間が2時間未満の集団と、3-4時間空けた集団のロジスティック回帰分析を行った結果、3-4時間空けると高血圧の予防につながる可能性が示唆された。

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2014年06月08日

高血圧の分類

●本態性高血圧症

本態性高血圧(原発性高血圧) 原因は単一ではなく、両親から受け継いだ遺伝素因に加えて、生後の成長過程、加齢プロセスにおける食事、ストレスなどの様々な生活習慣がモザイクのように複雑に絡みあって生じる病態(モザイク説)。

高血圧患者の9割以上を占める。

食塩感受性高血圧は、遺伝的素因と食塩摂取過剰を兼ね持つもので、本態性高血圧の一部を占める。




●二次性高血圧

二次性高血圧 明らかな原因疾患があって生じる高血圧をいい、以下のような疾患が原因となる。

頻度は少ないが手術などによって完治する確率が高いのでその診断は重要である。

1.大動脈縮窄症 先天性疾患

2.腎血管性高血圧 腎動脈の狭窄があり、血流量の減った腎でレニンの分泌が亢進することで起きる。

3.腎実質性高血圧 腎糸球体の障害により起こる。

4.原発性アルドステロン症 (primary aldosteronism; PA) 副腎皮質の腫瘍からアルドステロンが過剰に分泌されるため起こる。

5.偽性アルドステロン症 グリチルリチン酸により、11-βHSD2活性が抑制され、コルチゾール代謝の阻害→コルチゾールの残存→ミネラルコルチコイド受容体刺激となる。

6.Apparent Mineralocorticoid Excess症候群(AME症候群) 11-βHSDの異常からおこる常染色体劣性遺伝疾患。

7.Liddle症候群 低カリウム血症、代謝性アルカローシスを来す常染色体優性の遺伝性高血圧症。Epethelial Sodium Channel; ENaCの異常から生じる。

8.クッシング症候群 副腎皮質の腫瘍からコルチゾールが過剰に分泌されるため起こる。

9.褐色細胞腫 副腎髄質や神経節の腫瘍からアドレナリンまたはノルアドレナリンが過剰に分泌されるため起こる

10.大動脈炎症候群 膠原病の一つ。

11.甲状腺機能異常 甲状腺機能亢進症や甲状腺機能低下症

12.妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症より改名)。

13.高カルシウム血症



この他、脳血管障害の急性期に著明な高血圧を来すことが知られている。脳出血では応急的な降圧が必要だが、脳梗塞では寧ろ脳血流を保てなくなる恐れがある為、降圧は行われない。




●高血圧の合併症

高血圧が持続すると強い圧力の血流が動脈の内膜にずり応力を加えると同時に血管内皮から血管収縮物質が分泌されることで、血管内皮が障害される。

この修復過程で粥腫(アテローム)が形成され、動脈硬化の原因となる。

慢性的疾患は大きく 「脳血管障害」、「心臓疾患」、「腎臓疾患」、「血管疾患」の4つに分類され、高血圧によって生じる動脈硬化の結果、以下のような合併症が発生する。



●脳血管障害

脳卒中

脳出血と脳梗塞およびクモ膜下出血に分類されるが、高血圧と関連が深いのは前2者である。

脳出血は高血圧ともっとも関連するが、最近は降圧薬治療がうまく行われるようになったため、その頻度は減少してきている。

一方、脳梗塞の頻度はむしろ増加し、その発症年齢も高齢化している。脳卒中の結果として片麻痺、失語症、認知症など寝たきりの原因となりやすい後遺症を残すため、社会的、経済的観点からも高血圧の予防はきわめて重要である。

脳卒中の発症を予測する上では、収縮期血圧(Systolic Blood Pressure;SBP)が性や人種に関係なく、脈圧・拡張期血圧 (Diastolic Blood Pressure;DBP) などと比べ、最も重要な因子であるという論文が American Journal of Hypertensionの2007年3月号に掲載された。

また日本人でも収縮期血圧のみが脳卒中および心筋梗塞の長期リスクの評価指標に適しているとの報告がなされた (Circulation. 2009;119:1892-1898)。




●心臓疾患

●虚血性心疾患

心筋梗塞や狭心症などの冠動脈の硬化によって心筋への血流が阻害されることで、心筋障害をきたす疾患群をいう。

高血圧が虚血性心疾患の重大な危険因子であることは間違いがないが、高コレステロール血症、喫煙、糖尿病、肥満などの関与も大きい。

最近は腹部内臓型肥満に合併した高血圧や高トリグリセライド血症、耐糖能異常などが冠動脈疾患のリスクであるとされ、メタボリック症候群として注目されている。

心肥大、心不全高血圧が持続すると心臓の仕事量が増えて、心筋が肥大してくる。

肥大した心筋はさらに高血圧の負荷によって拡張し、最終的には心不全に陥る。

また肥大した心筋では冠動脈からの血流も減少するために、虚血に陥りやすく、不整脈、虚血性心疾患の大きなリスクとなる。



●腎臓疾患

腎障害腎臓の糸球体は細動脈の束になったものであり、高血圧によって傷害される。

また、糸球体高血圧がレニン-アンギオテンシン系を賦活するためさらに血圧を上昇させる。

糸球体は廃絶すると再生しないため、糸球体障害は残存糸球体への負荷をさらに強めることとなる。

最終的には腎不全となり人工透析を受けなければならず、やはり社会的、経済的な負担は大きく、その進展予防は重要である。



●血管疾患

●動脈瘤

胸部や腹部の大動脈の壁の一部が動脈硬化性変化によって薄くなり、膨隆した状態を大動脈瘤という。

内径が5cm以上になると破裂する可能性が高くなるので、手術適応となる。

また血管壁の中膜が裂けて、裂け目に血流が入り込み、大血管が膨隆する状態を;解離性大動脈瘤 といい、生命を脅かす危険な状態である。


●閉塞性動脈硬化症

主に下肢の動脈が、動脈硬化によって著しく狭小化するか、あるいは完全に閉塞した状態をいう。

数十メートル歩くとふくらはぎが痛くなり、立ち止まると回復する場合には、この疾患を疑う。







●高血圧の診断

血圧は変動しやすいので、高血圧の診断は少なくとも2回以上の異なる機会における血圧測定値に基づいて行われるべきである。

最近は家庭血圧計が普及しているが、家庭で自分自身で測定した血圧値の方が、診察室で医師や看護師によって測定した血圧値よりも将来の脳卒中や心筋梗塞の予測に有用であるとする疫学調査結果が相次いで報告されている。

診察室での血圧測定では、白衣高血圧(医師による測定では本来の血圧より高くなる現象)や仮面高血圧(普段は高血圧なのに、診察室では正常血圧となる現象)が生じるため、必ずしも本来の血圧値を反映していないという考え方が普及している。


家庭での正常血圧値は診察室での血圧値よりもやや低いために、家庭血圧では135/80mmHg以上を高血圧とする。

家庭では朝食前に2回血圧を測定することが望ましい。心筋梗塞や脳卒中の発症は朝起床後に多発することから、早朝の高血圧管理が重要である。(早朝高血圧)

脳卒中や心筋梗塞の発症には高血圧のみならず、喫煙、高脂血症、糖尿病、肥満などの他の危険因子も関与するために、危険因子や合併症も考慮した高血圧の層別化によって将来の脳卒中、心筋梗塞の危険度の予測能が高まる。

動脈硬化の診断や、腎機能、血圧反射機能などの自律神経機能等の診断も病態の把握に重要であり、動脈硬化の定量診断には脈波伝播速度計測なども行われている。

血圧反射機能診断のためには、血圧変化に対する心拍反応や、動脈の血圧反射機能を診断する方法論も提案されている。

精密な病態の診断が最適な治療には不可欠である。




●高血圧の管理・治療

ガイドラインに定められた期間を食事療法や運動療法を行い、それでも140/90mmHgを超えている場合は降圧薬による薬物治療を開始する。

近年は大規模臨床試験がいくつも出そろい、高血圧治療指針(ガイドライン)では科学的根拠に基づいた降圧薬の選択を推奨している。



日本では依然として主治医の裁量ではあるが、その裁量を欧米の医療に即している医師と、上記のうちいくつかを改変した日本独自の考え方をもつ医師がいる(こちらのほうが多い)。


日本独自の考え方としては、

1.Ca受容体拮抗薬は副作用が少なく血圧を大きく下げるため、多くの場合で有用である。エビデンスが豊富で、危険因子として特に比重の高い脳出血は、同剤の開発前後で明らかに減少している。

虚血性心疾患においても、日本人では冠攣縮型狭心症の関与が大きく、Ca受容体拮抗薬が有効である。



2.降圧利尿薬は廉価であるが、耐糖能の悪化や尿酸値上昇、低カリウム血症といった副作用により、敬遠する医師が多かった。

しかし多くの臨床試験によってACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬などの最近の高価な降圧薬と同等か、それ以上の脳卒中、心筋梗塞予防、心不全改善、腎保護効果が明らかになっており、最近見直され処方する医師が増えている(例:インダパミドの項参照)。


3.日本の医療は国民皆保険でありコストを考える必要はあまりないため、たとえリスクの低い患者であっても最初から高価で切れ味の良いACE阻害薬やAII拮抗薬から始めても良いが、降圧利尿薬の選択をいつも考慮する。

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