2014年06月30日

高血圧の治療薬の種類(5)

●高血圧の治療薬の種類(5)


●直接的レニン阻害薬

レニンはアンジオテンシノーゲンからアンジオテンシンIへの変換反応を触媒する酵素であり、血圧のコントロールに関与するレニン-アンジオテンシン系の上流に位置する。

直接的レニン阻害薬 (Direct Renin Inhibitor,DRI) であるアリスキレンはレニンのAsp32とAsp215の両残基に水素結合し、その活性を抑制することで降圧効果を示す十数年ぶりの新しいクラスの降圧薬である。

アリスキレンの降圧効果は持続的であり、単剤投与での24時間以上にわたって十分な降圧効果を示すとされており、ACE阻害作用を有していないためにキニン代謝による空咳などの副作用は生じにくいと考えられている。

アリスキレン(Aliskiren ラジレスなど)



●交感神経遮断薬

●交感神経の神経筋接合部にはアドレナリン受容体が存在している。

アドレナリン受容体は大きくα受容体とβ受容体に分けられ、α受容体は血管平滑筋の収縮を介して血圧上昇に働くα1受容体とシナプス前膜に存在して抑制的なフィードバック機構として働くα2受容体が存在する。

一方、β受容体にはβ1-3の三種類のサブタイプが存在し、β1受容体を介した心機能亢進作用やβ2受容体を介した血管平滑筋弛緩作用が血圧の制御において重要である。


●α受容体遮断薬

α受容体の遮断薬には非選択的にα受容体を遮断するものと選択的にα1受容体のみを遮断するものが存在する。

非選択的遮断薬であるトラゾリンおよびフェントラミンはα2受容体に対しても阻害作用を示すことから、α2受容体を介した抑制的フィードバックが外れ、シナプス前膜から神経伝達物質であるノルアドレナリンの放出が促進される。

このノルアドレナリンが循環血中を回り心臓などへ辿りつくとβ受容体の刺激を引き起こし、副作用の原因となる。

一方、α1受容体の選択的な遮断薬はα2受容体遮断作用を持たないことからこのような副次的な効果をもたらしにくい(副作用がないというわけではない)。

αブロッカーには心血管系の抑制効果が報告されていないため、高血圧治療薬の第一選択にはならない。

しかし脂質代謝やインスリン抵抗性を改善するため脂質異常症、メタボリックシンドロームを伴う高血圧では併用薬として用いられることが多い。

早朝の血圧上昇が心血管系イベントに関連し、その上昇に交感神経の亢進が関与するとされており早朝高血圧に対してドキサゾシン(カルデナリンなど)が使用されることが多い。

また前立腺肥大が合併している時も好まれる傾向がある。

カルデナリンの場合、アドビアランス不良の原因となるのが起立性低血圧の副作用である場合が多く、高齢者での使用では注意が必要である。

カルデナリンの維持量は1日1〜4mg(分1)であるが0.5mgから開始し、徐々に増量していく。

起立性低血圧は出現しても数日後に自然消失することも多いが、転倒のリスクがある患者では注意が必要である。 トラゾリン(Tolazoline)

フェントラミン(Phentolamine)

ドキサゾシン(Doxazosin カルデナリンなど)

プラゾシン(Prazosin ミニプレスなど)

ブナゾシン(Bunazosin デタントールなど)

テラゾシン(Terazosin)

ウラピジル(Urapidil)


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2014年06月25日

高血圧の治療薬の種類(5)

●高血圧の治療薬の種類(5)

●アンジオテンシン受容体拮抗薬 (ARB)

上記の機構により産生されたアンジオテンシンIIはアンジオテンシン受容体を介してその作用を発現することが知られている。

アンジオテンシン受容体にはサブタイプが存在し、アンジオテンシン受容体拮抗薬(英: Angiotensin Receptor Blocker, ARB)の降圧作用はAT1受容体の遮断に基づく。

いずれも妊婦への適応は禁忌である。



ARBの標準薬はバルサルタン(Valsartan ディオバンなど) であり、世界で最も汎用され新薬開発時には、比較薬とされている。

ACE阻害薬やARBは輸出細動脈を拡張させ糸球体内圧を低下させ蛋白尿の減少を行う作用がある。

また、ARB各薬剤のクラスエフェクト以外の作用も注目されており、テルミサルタン(ミカルディスなど)のPPARγ活性化作用を介した糖・脂質代謝改善作用、ロサルタン(ニューロタンなど)の尿酸値低下作用等が挙げられる。

ARBは空咳のないACEIとほぼ同様なイメージがあったが、イルベサルタン(イルベタン、アバプロなど)は腎症に対して豊富なエビデンスがあり、心不全にACEI、腎不全にARBというイメージを定着させた。


ロサルタン(Losartan ニューロタンなど)

オルメサルタン(Olmesartan オルメテックなど)

テルミサルタン(Telmisartan ミカルディスなど)

バルサルタン(Valsartan ディオバンなど)

カンデサルタンシレキセチル(Candesartan Cilexetil ブロプレスなど)

イルベサルタン(Irbesartan イルベタン、アバプロなど)

アジルサルタン(Azilsartan アジルバなど)

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2014年06月19日

高血圧の治療薬の種類(4)

●高血圧の治療薬の種類(4)


●アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)

アンジオテンシン変換酵素(ACE)は生理活性ペプチドであり昇圧作用を有するアンジオテンシンIIの産生に関与している。

さらに、ACEは降圧物質であるブラジキニンの分解に関与する酵素キニナーゼIIと同等であり、ACE阻害薬はこの酵素活性を阻害することにより、アンジオテンシンIIの産生抑制とブラジキニンの分解抑制をもたらし、結果として降圧作用を示す。


ACE阻害薬やARBは輸出細動脈を拡張させ糸球体内圧を低下させ蛋白尿の減少を行う作用がある(腎保護作用)。

このため慢性腎臓病、糖尿病性腎症でARBと同様に好まれる傾向がある。

またACE阻害薬は心臓のリモデリング防止作用、心筋梗塞の再発予防、心不全患者の予後改善効果があると考えられている。

またCa拮抗薬と同様の脳卒中予防効果もあるとされている。

空咳の副作用が有名であり、ARBに劣るイメージがあるが心保護作用のエビデンスはACEIの方が豊富である。

心房細動の抑制効果も知られている。特にイミダプリル(タナトリル)は糖尿病性腎症に適応がある。



●カプトプリル(Captopril カプトリルなど)

●リシノプリル(Lisinopril ロンゲスなど)

●エナラプリル(Enalapril レニベースなど)

●デラプリル(Delapril)

●ペリンドプリル(Perindopril コバシルなど)

●ベナゼプリル(Benazepril)

●トランドラプリル(Trandolapril)

●キナプリル(Quinapril)

●アラセプリル(Alacepril)

●イミダプリル(Imidapril タナトリルなど)

●テモカプリル(Temocapril)

●シラザプリル(Cilazapril)


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2014年06月17日

高血圧の治療薬の種類(3)


●高血圧の治療薬の種類(3)

●カルシウム拮抗薬(2)

●ジヒドロピリジン系

ニフェジピン(アダラートなど)やニカルジピン(ペルジピンなど)やアムロジピン(アムロジンやノルバスク)が含まれる分類である。

ニフェジピンはL型カルシウムチャネルのN部位に結合する。

血管拡張作用、降圧作用が強く、心筋への作用がほとんどない。

高血圧や冠動脈痙縮症、狭心症でよく用いられる。

陰性変力作用や催不整脈作用は殆どないと考えられている。

ニフェジピンは作用発現が早すぎて、心拍数の上昇が認められることがあったが、アダラートLなどは徐放剤とすることでその問題点を克服している。



アダラートカプセルは徐放剤ではないため高血圧緊急症における迅速な降圧の際に以前は用いられたが、過剰な降圧を来したり、かえって虚血性心疾患を誘発したりする可能性があり、現在は勧められない。


ニカルジピンは安定した点滴静注が可能であるため、病棟では好まれる。


ペルジピンの1アンプルは10mg/10mlである。維持量が2〜10γであるため、体重が50Kgならば1γは原液で3ml/hrに相当する。

原液2ml/hrから開始しスケーリング対応で2〜20ml/hrの範囲で維持することが多い。

副作用に頻脈性不整脈があるため心不全を合併している場合は0.5γである1.5ml/hrという低用量からスタートするのが無難である。


●アムロジピン(Amlodipine アムロジン、ノルバスクなど)

●フェロジピン(Felodipine)

●ニカルジピン(Nicardipine ペルジピンなど)

●ニフェジピン(Nifedipine アダラートなど)

●ニモジピン(Nimodipine)

●ニトレンジピン(Nitrendipine)

●ニルバジピン(Nilvadipine)

●アラニジピン(Aranidipine)

●アゼルニジピン(Azelnidipine カルブロックなど)

●マニジピン(Manidipine カルスロットなど)

●バルニジピン(Barnidipine)

●エホニジピン(Efonidipine ランデルなど)

●シルニジピン(Cilnidipine アテレックなど)

●ベニジピン(Benidipine コニールなど)


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高血圧の治療薬の種類(2)

●高血圧の治療薬の種類(2)


●カルシウム拮抗薬

カルシウム拮抗薬(英: Calcium Channel Blocker, CCB)は、血管平滑筋細胞の細胞膜上に存在する電位依存性カルシウム(Ca)イオンチャネルを阻害する薬物であり、その化学構造からジヒドロピリジン系と非ジヒドロピリジン系に細分類される。

筋肉の収縮にはイオンチャネルを介した細胞内へのCa2+の取り込みが大きな役割を担っており、Ca2+の取り込みが低下すると平滑筋の収縮が減弱化し、血圧の低下につながる。

2008年現在、臨床での使用目的に発売されているカルシウム拮抗薬は全てL型カルシウムチャネルを阻害するものであるが、カルシウム拮抗薬の中でもシルニジピンのみ交感神経細胞膜に存在するN型カルシウムチャネルも阻害する作用がある。



下記に示した以外に非ジヒドロピリジン系の薬剤としてベラパミルが知られているが、日本では高血圧に対する適応は認可されておらず、不整脈や虚血性心疾患に対して用いられている。

血管への作用としては静脈より動脈の平滑筋に作用が強く出る。

特に細動脈レベルで効果が発現していると考えられている。

腎臓では輸入細動脈の拡張を行うため、糸球体内圧を上昇させる可能性があり、腎硬化症の進展予防としてはふさわしくないと考えられている。

心臓では洞房結節の興奮頻度の減少や房室結節の伝導抑制が効果があることが知られている。

効果発現が比較的早いため、その他の薬物を積極的に用いる理由がない場合に第一選択として用いられることが多い。



カルシウム拮抗薬は薬物代謝酵素であるCYP3A4を介した代謝を受けることが知られており、同酵素を阻害する薬物の併用により血中濃度の上昇が生じる可能性がある。

グレープフルーツジュース中に含まれる成分も小腸粘膜のCYP3A4を阻害することが知られており、CCBを服用中の患者に対してはグレープフルーツジュースの摂取を避けるように指導する。



カルシウム拮抗薬で降圧薬として用いられるのはジヒドロピリジン系である。

冠痙縮(異型狭心症)が多い日本では第一選択となる場合が多い。

カルシウム拮抗薬は降圧効果が高く、利尿薬、βブロッカーよりも脳卒中の発症のリスクが低くなることが知られている。

特にアムロジピンは最も半減期が長く、長時間作用型であり、血管拡張に伴う反射性の交感神経刺激作用が少ないため頻用されている。

しかしアムロジピンには腎機能悪化抑制効果、蛋白尿抑制効果は少ないとされている。

蛋白尿抑制効果はシルニジピン(アテレック)、エホニジピン(ランデル)、アゼルニジピン(カルブロック)で報告されている。

今日ではエビデンス、医療経済の面から利尿薬も再評価されているが、高尿酸血症の改善作用を持つカルシウム拮抗薬はほとんどない。

例外はシルニジピンであり、尿酸低下作用をもち、利尿薬と併用しやすい(ARBではロサルタンのみが尿酸低下作用をもち、利尿薬との合剤が発売されている)。

posted by ホーライ at 08:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 高血圧の治療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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