●直接的レニン阻害薬
レニンはアンジオテンシノーゲンからアンジオテンシンIへの変換反応を触媒する酵素であり、血圧のコントロールに関与するレニン-アンジオテンシン系の上流に位置する。
直接的レニン阻害薬 (Direct Renin Inhibitor,DRI) であるアリスキレンはレニンのAsp32とAsp215の両残基に水素結合し、その活性を抑制することで降圧効果を示す十数年ぶりの新しいクラスの降圧薬である。
アリスキレンの降圧効果は持続的であり、単剤投与での24時間以上にわたって十分な降圧効果を示すとされており、ACE阻害作用を有していないためにキニン代謝による空咳などの副作用は生じにくいと考えられている。
アリスキレン(Aliskiren ラジレスなど)
●交感神経遮断薬
●交感神経の神経筋接合部にはアドレナリン受容体が存在している。
アドレナリン受容体は大きくα受容体とβ受容体に分けられ、α受容体は血管平滑筋の収縮を介して血圧上昇に働くα1受容体とシナプス前膜に存在して抑制的なフィードバック機構として働くα2受容体が存在する。
一方、β受容体にはβ1-3の三種類のサブタイプが存在し、β1受容体を介した心機能亢進作用やβ2受容体を介した血管平滑筋弛緩作用が血圧の制御において重要である。
●α受容体遮断薬
α受容体の遮断薬には非選択的にα受容体を遮断するものと選択的にα1受容体のみを遮断するものが存在する。
非選択的遮断薬であるトラゾリンおよびフェントラミンはα2受容体に対しても阻害作用を示すことから、α2受容体を介した抑制的フィードバックが外れ、シナプス前膜から神経伝達物質であるノルアドレナリンの放出が促進される。
このノルアドレナリンが循環血中を回り心臓などへ辿りつくとβ受容体の刺激を引き起こし、副作用の原因となる。
一方、α1受容体の選択的な遮断薬はα2受容体遮断作用を持たないことからこのような副次的な効果をもたらしにくい(副作用がないというわけではない)。
αブロッカーには心血管系の抑制効果が報告されていないため、高血圧治療薬の第一選択にはならない。
しかし脂質代謝やインスリン抵抗性を改善するため脂質異常症、メタボリックシンドロームを伴う高血圧では併用薬として用いられることが多い。
早朝の血圧上昇が心血管系イベントに関連し、その上昇に交感神経の亢進が関与するとされており早朝高血圧に対してドキサゾシン(カルデナリンなど)が使用されることが多い。
また前立腺肥大が合併している時も好まれる傾向がある。
カルデナリンの場合、アドビアランス不良の原因となるのが起立性低血圧の副作用である場合が多く、高齢者での使用では注意が必要である。
カルデナリンの維持量は1日1〜4mg(分1)であるが0.5mgから開始し、徐々に増量していく。
起立性低血圧は出現しても数日後に自然消失することも多いが、転倒のリスクがある患者では注意が必要である。 トラゾリン(Tolazoline)
フェントラミン(Phentolamine)
ドキサゾシン(Doxazosin カルデナリンなど)
プラゾシン(Prazosin ミニプレスなど)
ブナゾシン(Bunazosin デタントールなど)
テラゾシン(Terazosin)
ウラピジル(Urapidil)